こんにちは~チェリーです。
今回はアニメ映画「パラノーマン」を紹介します。
ポスターからわかる通り、アニメの中でも、実際のセットや人形を動かし一コマずつ撮っていく「ストップモーションアニメ」にあたる作品です。この映画で初めて3Dカラープリンターを使ってキャラの顔を作成するという試みが行われました。
制作元のライカはストップモーションアニメの映画でよく知られており、ティム・バートン監督の「コープスブライド」の制作に携わったことでも有名。ほかに「コララインとボタンの魔女」や「KUBO クボ 二本の弦の秘密」などが代表作として挙げられます。
日本国内ではイマイチ知名度に欠けますが、それがもったいないぐらいの名作です!
この映画をオススメする人
- 子供と観る映画を探している人
- 心によりそう映画を観たい人
- 社会で疎外感を感じている人
基本情報
- 2012年公開
- 監督 サム・フェル、クリス・バトラー
- 制作会社 ライカ
- 音楽 ジョン・ブライアン
あらすじ
300年前に魔女狩りの現場になったと言われている町、ブライズ・ホローに暮らす少年ノーマンは、死んだ人たちと会話する能力を持ちそのせいで変わり者扱いされていた。そんなある日、ノーマンは疎遠になっていた叔父から、ブライズ・ホローには「魔女の魂」が封印されており、その魂が悪霊を呼び寄せて町を滅ぼそうとしていることを知らされる。死者と話す能力をもった者たちが何代にもわたり町を守ってきたことを知り、叔父からその役割を受け継いだノーマンは、封印された魔女の正体を解き明かし、町を守るために立ちあがる。
感想
主人公ノーマンは幽霊が見え、話もできる少年です。でもそんな素振りを見せれば周囲の人間は気味悪がるもの。学校でも家でも彼は変人扱いされます。話し相手になってくれるのは祖母(幽霊)と、のんびり少年ニールだけ。
ノーマン自身も、もう受け入れられることは半ば諦めているようで、「一人がいい」と最初はニールも拒絶していました。
ところが、ある時変わり者の親戚のおじさん(この人も実は幽霊が見える)に、魔女の墓での年に一度の儀式を引き継ぐように言われます。半信半疑で墓に向かうノーマンでしたが、驚きの真実が明らかになっていき……!!
恐怖と差別は紙一重
印象的なのが、ノーマンの父がノーマンを叱った後のノーマンの母の台詞。
「人って時々怒ってみえるわよね。でもそれって怖いからなのよ。」
ノーマンの父は体面を気にしすぎな所はありますが、息子を守りたいという気持ちはあるんですよね。でも息子のことを理解できず、どう接すればいいかわからないのでしょう。
かつて「魔女」を処刑した人々も、異質な者を恐れるあまり、かえって自分たちが加害者になって取り返しのつかないことをしてしまいました。
最近、パンデミックに端をなす外国人差別や、感染者やその家族への中傷が問題になっています。これも無知や偏見、そしてそこから生まれる恐怖が原因だと言えるでしょう。
魔女の正体
作中のキーワードとなる「魔女」と「魔女狩り」。
実際の歴史でも、中世ヨーロッパや、清教徒移住後のアメリカ大陸で魔女裁判があったのは有名ですね。
まずビックリなのはブライス・ホローの魔女の正体。街には今でもおっかない銅像が残っていましたが、本当はたった11才の少女。この子もノーマンと同じ能力を持っていたため、人々に恐れられ、魔女狩りで処刑されてしまったのでした。
その魂を静め寝かしつけるために、霊能者たちが代々絵本を読んで聞かせて来たのでした涙
儀式が失敗し目覚めた少女は、ゾンビたちを呼び起こします。(ここでのゾンビギャグがシュール笑。自販機を使えないとか動きがのろすぎるところとか)
ゾンビを怖がってた住民が、武器を手にしたとたん逆に集団で襲いかかってくるのは何とも皮肉。ゾンビたちは彼らに何も危害を加えていません。
でもそれは、かつてゾンビたちが少女にやったのと同じこと。それこそが「魔女の呪い」なんですね。
相手より優勢になったとたん、集団心理に身を任せ弱いものいじめを正当化する。
どんな人でも立場が変わればそうなる可能性はあるのだから気を付けないといけないと考えさせられました。
話の着地点も良かったと思います。
ノーマンは少女と同じように迫害されたことがあるので、彼女の気持ちにも他の人より寄り添ってあげることができました。
少女はやっぱりまだ恨みが晴れないものの、ノーマンの説得で、アギーという自分の名前を思いだし、「ママに会いたい」という想いから成仏することを選んだのです。
誰かを憎むことはすごくエネルギーがいることなんですよね。ゾンビたちに復讐してや
りたいのは当然ですが、彼らも自分たちの過ちを嫌というほど反省させられた訳ですし。
ノーマンの言う通り、意地悪してきた人だけでなく愛してくれた人たちのことを忘れずにいる方が、やっぱり幸せではないでしょうか。
だからこそ姉のコートニーやニールがノーマンを住民からかばうところで少しホっとしました。コートニー、途中までは結構ムカつく感じでしたけどね笑
宣伝にもう一工夫ほしい
構想に十年、制作に三年かかったという本作。
制作陣たちの並々ならぬこだわりが伝わってきます。
ただ、ストップモーションを物凄くプッシュされても、一般のお客さんにはあまり響かないと思うのですよね~。技術も手間も相当なことは確かなのですが、、、。
ノーマンやアギーのキャラ造形とか、ノーマンの持ってるゾンビグッズとか、オタク心をくすぐる点はいっぱいあるのですが、それは観ないとわからないですし、、、。
良さを伝えるのが難しいタイプの映画なんですよね笑
まとめ
今回は映画「パラノーマン」を紹介しました。
派手さはないものの、観た人の心に残り続ける名作だと思います。
皆さんもぜひご覧ください。
それでは~