こんにちは~チェリーです。
今日はおすすめのノルウェー映画「らいおんウーマン THE LION WOMAN」を紹介します。(邦題のひらがなとカタカナのバランスが謎)
この映画は2004年にノルウェーでベストセラーになった同名の小説が原作。日本では劇場公開されていませんが、NETFLIXで視聴することができます。
舞台は1912年のノルウェー。一人の妊婦が雪山で転んで早めに産気づいてしまい、出産後亡くなってしまいます。幸い赤ちゃんは元気に生まれてきたものの、その子の全身は毛で覆われていて……。
主人公の少女エヴァの症状は俗に「多毛症」と呼ばれ、稀ですが実際に存在します。
人と違う見た目のために絶えず偏見や差別の的にされるエヴァ。
これだけ聞くと陰惨なイジメを描いた暗い話なのかと思われそうですが、それだけではなく、希望や愛を感じることのできるお話です。
傷つきながらも、周囲の人の愛に支えられて成長していくエヴァの姿が印象的。
ラストシーンを観終わった後、きっと温かい気持ちに包まれるはずです。
基本情報
予告編
あらすじ
1912年のノルウェー。早産の末生まれた少女エヴァは生まれつき全身が毛で覆われていた。周りと違う外見のために辛い目にあわされるエヴァ。エヴァが傷つけられるのをおそれた父親グスタフ、エヴァを心から愛する優しい乳母ハナ、朗らかな友人のスパーキーなどに支えられてエヴァは様々なことを体験し成長していく。
感想
エヴァの成長に涙
一歩外に出ただけで町中で噂されたり、学校でいじめられたり、学会で見世物扱いされたり……。
幼いエヴァが心無い周囲の行動に傷つけられる胸糞悪いシーンも何度かあります。
「普通の外見に生まれていたら……」と何度もおもうエヴァ。
それでもエヴァは自分を見失うことなく、美しく逞しく成長していきます。
学会で出会った「トカゲ男」アンドレイに「どうせのけ者にされるのだから、特殊な者同士で一緒に暮らす方が良い」とフリークショーに誘われるエヴァ。
グスタフは断固反対しますが、エヴァはその世界に飛び込みお金を稼ぐことを自分の意思で決めます。
そして大学で数学を学ぶという夢をかなえ、パリで教授にまでなります。
この展開は原作にはないオリジナルだそうで、やや駆け足だったものの、エヴァの自立を感じさせるものになっていました。
終盤エヴァと再会したハナが「綺麗になって」と口にしたのは、幼かったエヴァの中身の成長も感じたからでしょうね。
周りの人々の愛
そんなエヴァを支えたのが周りの人々の愛でした。
まず乳母のハナ。彼女は17歳で生んだばかりの子供を亡くし、家族からも勘当された女性。グスタフに雇われエヴァの世話をします。
何もかも失ったハナですが、エヴァに出会ってからは彼女を娘として心から愛するようになります。そしてエヴァを外の世界に出すために、雇い主のグスタフにはっきり意見するようになるまでに。
ハナの愛情の深さと逞しさは、エヴァの道しるべとなったのではないでしょうか。
そしてエヴァの良き友人スパーキー。朗らかな性格で、エヴァにモールス信号を教えてくれたり手紙をくれたりします。これがエヴァの知的好奇心を呼び起こすきっかけに。
外の世界では虐められるばかりだったエヴァに、初めてできた優しい友達でした。
グスタフのせいでエヴァの元を去ってしまうスパーキーでしたが、最後までエヴァを想っていてくれたのでした……。
不器用で複雑な親心
ベテラン俳優ロルフ・ラスゴード演じる父親グスタフの心情も見どころの一つ。
最初に生まれてきたエヴァを見た時は「この毛は除去出来ないのか」と言ったり、娘を拒むような様子を見せるグスタフ。(奥さんが亡くなってショックだったのもあるかもしれませんが)
エヴァが外に出たいといっても頑なに拒みます。
一方で、ハナと一緒にエヴァのために家でクリスマスのお祝いをしたり、通信に興味を持ったエヴァに電信機をプレゼントしたりとエヴァを可愛がり支える様子も見せます。
エヴァが外の世界で理不尽に傷つけられるのは許さない。でも聡明な娘の好奇心には応えてあげたい。
そんな複雑な愛情を、不器用な形でしか示せなかったのでしょうね。時に行き過ぎてエヴァやスパーキーを傷つけてしまったのも、グスタフが親として成長の途中にあったからかもしれません。
グスタフの想いが伝わるラストシーンには涙がにじみます……。
まとめ
劇場公開されていないので日本ではかなりマイナーかもしれませんが、とてもおすすめな北欧映画です。
親子の愛と一人の女性の成長をじんわりと温かく描いた本作。ぜひご覧になってください!
それでは~